宮城県仙台市・あみ焼き「寿限無」

以前に一度来た時にとてもおいしかったのが「赤ホヤの塩辛」で、今回も真っ先に頼む。
塩辛なのだが、磯の香りがふわっと漂い、程よく締まったホヤの身の食感がとてもお気に入り。一の蔵の純米酒を頼んでじっくりと味わう。
ホヤは独特の果物のような香りが好き嫌いをはっきり分ける食べ物だと思うのだが、まぁまずい面をしたものは意外においしいものが多いと思っている。生の現物は、普通食べ物には見えそうにないゴツゴツした赤黒い手榴弾のような格好だが、新鮮なものは生臭みなどまったくなく、フルーティーな感じさえする。その香りそのままで塩辛になっているので「うまい！」と言ってしまうのである。
続いて出てきたのが「イカそうめん」メニューには「おダシをぶっかけて、ズルズルッとお召し上がり下さい。」とあり、書かれている通りにそうめんつゆをかけて、細く切られた歯応えあるイカを堪能する。
このお店に来て感心するのはお通しの良さだ。
今回は白身魚と大根の煮物だが、お通しにしては立派過ぎるくらいの切り身が出てきた。これで十分一品になるくらいのものだった。概してお通しというのは席料を取るための言い訳のようなものが多く、ひどいところだとマカロニを缶詰のミートソースで和えたものが出てきたりして、そのくせ250円とか300円とか伝票についているので腹が立つのだが、こういうお通しだとほくそえんでしまう。あっさりした甘めの煮物でおいしくいただいた。
酒のラインナップも充実しており、日本酒好きが究極をここで極めることはできないにしても宮城の地酒を中心にメジャーな浦霞、一の蔵、日高見などから青森、秋田、山形、福島の東北の旨い純米酒を気軽に楽しめるのはとても良い。
県外から出張してくるとこういう手軽でおいしいお店があれば、つい何度も足を運びたくなるのである。野の幸サラダ（450円）や尺オーバーの特大ホッケ（1250円）、焼き鳥（２串350円〜）なども頼み、３人で酒８合と中生ビール１０杯を飲んで一人当たり約4500円。３人とも大酔っ払いになってホテルに戻り、幸せな一夜は過ぎていった。